ろまんすのかみさまを

『着の身着のまま』みたいな感じで書いていきます。適当に見てください。

伊藤万理華『トイ』より。まりっかには何が見えていたのか。

www.youtube.com

 

本作は元乃木坂46伊藤万理華の脳内博覧会にて上映されたムービーであり、先日YouTubeの乃木坂オフィシャルチェンネルより公開された。

www.parco-art.com

 

個展開催開催ののちに卒業を発表。

私自身も乃木坂46の1ファンであり、1期メンバーの卒業を惜しむ気持ちも大きい。

所在地の関係上、個展にいくことは叶わなかったが、通販でTシャツを購入させていただいた。

今年の夏を楽しみに待っているところである。

また彼女の持つアーティスティックな魅力は、むしろアイドルというよりは表現者のそれであり、今後の活動も楽しみにしている。

 

さて本題に入ると、以下のPVを始めて見たときの衝撃は空いた口がふさがらないほどであった。

私はこのPVに伊藤万理華の様々な魅力と彼女の人生感というか、アイドル卒業につながる経験が凝縮されていると考えている。

 

冒頭のシーンは伊藤万理華(以下;伊藤)が車の中で彼氏と思われる男と戯れるシーンから始まる。

それは一見「カップルのイチャイチャ」であるが、どこか違和感があるシーンでもある。暴力性やDV的な要素も含んだバイオレンスさを感じる。どこか伊藤が弄ばれているといった印象をいだく。主導権は男性側にあるようだ。

 

車から放り出され、水たまりに飛び込む伊藤。

「(アイスクリームが)服についた」と伊藤がおどけて、彼氏に問いかけるが反応はない。

1人トイレに向かう伊藤の表情は、今にも泣き出しそうな、それを必死にこらえているような印象を受ける。怪我をした足を引きずりながら。

 

ここで本PVタイトルの『トイ』の意味がわかった気がした。

伊藤は「おもちゃ」なのだ。そして必死にすがりつく道化師。そんなことが連想される。

 

伊藤はトイレで顔を洗い、口紅を塗り直す。

口紅の色は鮮血の赤である。

心に厚化粧をするかのように。

そこでふと真横の鏡に目が入る。

 

そこに映るのは「あわれな自分」であったと想像される。

そんな本当の自分に目を背けるように、その鏡に向き直し、再び口紅を塗る。

伊藤の目つきから感じるのは「意地」と「否定」だ。

道化師としての自分を必死に保つように。

 

車が出る音が聞こえた。

はっと我に返る伊藤。慌てて駈け出すも車の姿はない。

のこされたのはぐちゃぐちゃに投げ捨てられた伊藤のカバン。

カバンの中身を拾い集める伊藤、手鏡が目に止まった。

鏡に映るのは「哀れな自分」。

落胆、絶望、疲労。

表情が語るのは「やっぱりか…」そんな言葉だと思う。

 

音楽とともに狂ったように踊る伊藤。

真っ白な自己表現。

踊り終えたのちの静寂。

 

再び鏡に映る自分を見る。

さきほどより幼い力の抜けた自分の顔。

「これが本当の私か」と言わんばかりに。

 

伊藤の頬を涙が伝う。目は朝日に向いている。

この時の感情はなんであろうか。

鼻をすする伊藤の表情は、どこか納得したような笑みにも映る。

「そうだよね、私わかった」

 

 

伊藤自身の再出発を告げるようなそんな終わりである。

 

彼女が表現したかった彼女が見ていた世界を、想像してみる。

決して彼女が乃木坂で過ごした4年間は楽しいだけの思い出ではないだろう。

自身の才能と意図に反して、現実に歯を食いしばって、偽りの自己を演じなけらなならない時もあったろう。

「アイドルらしくない」と伊藤自身も語るように、彼女にとってアイドルが足かせとなったかもしれない。

その中でそれでも、アイドルにこだわりながら歩んだ4年間は彼女にとって無駄ではない4年間であったことは確かであると伊藤自身も感じていると思う。

 

そんな彼女から発せられるメッセージとして、私の目にこのPVが焼きついた。

暗闇を抜けたすがすがしさを感じる彼女らしい作品であると感じる。

 

おしまい。

#伊藤万理華 #脳内博覧会 #乃木坂46 #トイ #まりっか #エトランゼ 

 

伊藤万理華写真集 エトランゼ

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